インテリアのセンスが全く合わない夫と一緒に暮らす方法
「ものを飾る」という点について、夫とセンスが合わない。
最初にそれに気づいたのは結婚する前、夫のAさんが大学のサークルの先輩だった頃だ。
ある時、サークルで七夕会をすることになり、手先の器用なAさんが七夕の飾りを担当することになった。
七夕会の前日、Aさんから突然電話があり、「飾りに使うから肌色の折り紙をたくさん買ってきて欲しい」と頼まれた。
何で肌色なのか、と思ったが、一応先輩の命令なので素直に買いに走り、Aさんのアパートに持って行ったところ、Aさんは肌色の折り紙で「やっこさん」を作り、それに色とりどりの折り紙で作った《まわし》を付けた「おすもうさん」を大量に笹にぶら下げていた。
そんなAさんと結婚したせいで、ひなまつりにはしばらくの間、こういう雛人形が飾られ続けた(娘達が生まれてからは、夫の母が木目込み人形の立派な雛人形を作ってくれたので、悲しい思いをすることはなくなった)
自分が何かを飾りたいと思っても、せっかく部屋を片づけて作ったディスプレイ用のスペースにはAさんの作ったよく分からないロボットのプラモデルや変な生き物のフィギュア、空手家の恰好をしたゴム人形などが飾られていて、自分が漫画原作の仕事をするにあたっての神棚の御神体な存在である藤子F不二雄先生のメダルを一緒に飾る気にはなれない。
(現在は仕事机のパソコンの横に飾られている)
そこで数年前から、家のインテリアについて、完全な棲み分けをすることにした。
夫のためにプラモデルなどを飾れる棚をホームセンターで材料を買ってきて作り、自分の仕事部屋である2階のリビング、玄関、2階のトイレに関しては、夫は手を出さないと約束させたのだ。
1階のトイレの方は夫に譲ったので緑色のキューピーの頭を被ったアマガエルのフィギュアやリアルなヤドカリやシャコのフィギュア、スコープドッグのプラモデルなど雑多なものが飾られ、非常にカオスな状態だが、とにかく来客があった時に恥ずかしい思いをすることはなくなった。
だが、夫は時々約束を破り、自分が玄関にアンリ・ルソーの『異国風景』
という絵を飾っているのを、お気に入りのジグソーパズルのパネルに入れ替えたりする。自分が家を空けて友達と飲みに行ったりした時に入れ替わっていることが多いので、それは何かの抗議なのかもしれない。
気づくたびに元に戻していたが、3日前の夜、また絵がジグソーパズルに入れ替わっていた。自分はすぐに気づいたが、今も戻していない。
夫のお気に入りのジグソーパズルというのが、これだからだ。